2021年04月09日

2021年 第13週(3月29日~ 4月4日)

❖県内概況❖
 定点把握感染症について、中和保健所管内において、発熱・咽頭炎・結膜炎の3主症状とする咽頭結膜熱の報告が増加しています。
タオルは個別にし、石けんと流水で十分に手を洗いましょう。
 新型コロナウイルス感染症について、全国的に3月以降、再び感染者が増加しており、1日、大阪府、兵庫県及び宮城県への「まん延防止等重点措置」の適用が決定されました。
本県でも、3月下旬以降感染者が高い水準で推移しており、第 13 週の新規感染者は 292 名で、前週より2倍に増加しています。
今回の「まん延防止等重点措置」の適用は、本県に隣接する大阪府等における感染拡大によるものであることから、県民の皆様には、感染予防のための「3つの徹底」とともに、改めて以下のことをお願いいたします。
・まん延防止等重点措置が適用されている地域への不要不急の往来を控えましょう
・通勤や通学等で大阪(特に大阪市)へ往来する際、感染リスクが高い場所への出入りを控えましょう
・家庭内でも「うつらない・うつさない」よう十分に用心しましょう

~「カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症」について~

 2020 年 50 週に届出があった「カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症」について、病原体サーベイランスに基づき遺伝子解析を実施した結果、奈良県内で初めて、OXA-48 型のカルバペネマーゼ産生菌(CPE)であることが判明しました。
ちなみに、2018 年の全国における CRE 病原体サーベイランス報告(1684 株)において、OXA-48 型は 3 株でした。
耐性菌の増加・拡大および抗生物質の開発鈍化の現状において、感染症治療の最終兵器とも呼称されるカルバペネム系抗生物質に耐性を示す CRE は「悪夢の耐性菌」と呼ばれ、国際的に最も恐れられている重要な薬剤耐性菌であり、監視が実施されています。
中でも、薬剤を分解するカルバペネマーゼ酵素を産生する CPE は、耐性遺伝子をプラスミド上に保持し、接合により、同一菌種や他菌種へ次々と耐性情報を伝達し、耐性菌の拡散が早い特徴を有します。
カルバペネマーゼ遺伝子には地域性があり、本邦では IMP 型が多く検出されます。
海外型に分類される KPC型、NDM型、OXA-48型の検出は少なく、検出された患者さんは、海外渡航歴の有る場合がほとんどです。
OXA-48 型は、2001 年にトルコで初めて確認され、2009 年以降、欧州各国で広がり、感染症になった場合の高い死亡率を懸念して CDC が 2013 年に警告声明を発表しています。
本邦では 2012 年に医療ツーリズムを原因とする事例で初めて確認されました。
近年、海外渡航歴の無い患者さんからも検出報告が出始め、国内での拡散が懸念されています。
奈良県の事例においても海外渡航歴無しと報告されており、今後、県内での広がりを監視する必要があります。
薬剤耐性菌による感染症とは
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✤第13週のトピックス✤
◆新型コロナワクチンQ&A特設サイト(厚生労働省)
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◆新型コロナウイルスVOC-202012/01感染者の陰性確認完了までに要した日数とCt値の推移に関する考察(国立感染症研究所HP)
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◆新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2021年3月31日現在) (国立感染症研究所HP)
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【奈良県感染症情報センター(奈良県保健研究センター)より参照】
(2021年4月9日更新)